変な粉で変な治療


現代の常識から考えると全くもって理解できないような方法で傷の治療に挑んだ人がいます。
17世紀のイギリス人Sir Kenelm Digbyです。

 

彼の治療する傷はレイピア(細身で先端の鋭く尖った刺突用の片手剣)でつけられた傷です。

 

まずは治療に用いる粉を作ります。
材料はミミズ、ブタの脳みそ、錆び、人間のミイラを少し、そして土です。
これらを混ぜて粉にします。
これが治療に用いられる「共感の粉」というものです。

 

材料を聞いただけで口の中に入れたくなくなります。
ご心配なさらずに。
これは服用する必要ありません。
塗るのです。

 

みなさんはこの粉を傷口に塗るのだと思うでしょう。
しかし傷口には塗りません。
じゃあどこに塗るのかというと、傷をつけたレイピアに塗るのです。

 

類感呪術(類似したもの同士は互いに影響しあうという)というもので、「共感の粉」がレイピアに何らかの作用を与え、そのレイピアが傷口に影響を与えて、傷口が治っていくとSir Kenelm Digbyは考えたのです。