吸入による麻酔が確立されたのは19世紀に入ってからでした。
それまでは植物やアルコールが麻酔薬として使われていました。
ガスの麻酔が開発される前に麻酔薬として使われていた植物、とくにケシについて紹介します。
紀元前4000年(シュメール)ではアヘンが麻酔として使われていたという記録が残っています。
シュメール人はアヘンのことを「歓喜をもたらす植物」と呼んでいたそうです。
紀元前1550年頃に書かれたとされるパピルスにはアヘンと他のハーブとの混合方法が記されていました。
アヘンは鎮痛剤や睡眠薬として使われていたのです。
また泣きじゃくる子供を落ち着かせるためにハエの糞にケシを混ぜたものを与えていました。
それからもケシは麻酔薬として各地で使われ、西暦2世紀にはローマ帝国の名医Galenusがアヘンを推奨しました。
頭痛、難聴、痙攣、喘息、咳、疝痛、発熱、メランコリーの治療に用いたそうです。