トレパネーションに用いた道具

中世から近代ヨーロッパにかけてトレパネーションという治療法が行われていました。
脳圧を下げるためにに頭蓋骨に穴を開けて硬膜(脳の髄膜の外層をなす強靭な膜)を剥き出しにします。
この治療法の恐ろしいところは頭蓋骨に開けた穴を塞がずに頭皮を縫い合わせてしまうことです。

 

頭痛や精神病の治療に効果があったと言われています。

 

さて当時はどのようにして頭蓋骨に穴を開けていたかですが、穴を開ける際に使用していた道具を紹介します。

150301-1

 

 

上の画像の道具はOsteotomeと言います。
1830年代あたりにドイツ人のBernard Heineによって発明されました。

 

ノコギリやハンマーで頭蓋骨に穴を開けようとすると、周囲の細胞を傷つける恐れがありますがOsteotomeを用いればそのようなことを心配する必要はありませんでした。

 

尖端についているとがった金属を頭蓋骨に刺してこの道具を固定したら、上部にあるハンドルを回します。
するとチェーンソーのように刃のついたベルトが回転して頭蓋骨を切っていきます。

 

・・・これも麻酔なしで行ったのでしょうか?

見るからに痛そうな瀉血の道具

中世から近世までのヨーロッパや近世アメリカなどでは瀉血が盛んに行われていました。
体内にたまった不要物や有害物を血液と共に外部に排出させることで健康を回復できると考えていたようです。

 

瀉血の方法としてはナイフなどで直接血管を傷つけて血液を抜く方法とヒルを皮膚に貼り付けて血液を吸わせる方法がありました。

 

今回はヒルからアイデアを得た瀉血用の医療器具を紹介します。
その名もすばりそのまま「人工ヒル」と言います。

150223

 

 

人工ヒルは1840年に発明されました。
端に数枚の刃がついていて、それが皮膚を傷つけます。
そしてシリンダーが血液を吸い上げるのです。

 

ヒルの方が痛みは少なそうですが、精神的なダメージは人工ヒルの方がはるかに少ないような気がします。
自分の血液を吸って膨らんでいくヒルなんて、絶体に見たくありませんからね。

尿路結石の手術方法

貧しく低タンパクの食事を強いられていた人々にとって膀胱結石や尿道結石は共通の悩みでした。
「痛みの王様」と例えられるほどの激痛をともなう尿道結石。
石が小さければ自然に排出されるのを待てばいいのですが、尿道と同じ、もしくは尿道よりも大きい場合は衝撃波によって砕くか摘出するしかありません。

 

昔は衝撃波を当てるというような高度な治療法はありませんでしたから、摘出するほかにありませんでした。
その摘出方法を紹介します。

150214-2

 

 

まずは医師は会陰縫線を切開し尿道球を露出させます。
会陰とは外陰と肛門の間のことです。

 

そうしたら下の画像の器具の登場です。

150214-1

 

 

この器具を射し込んで石を摘出するのです。

 

この時代はまだ麻酔がなかったので患者は激痛に耐えなければなりませんでした。
そのため医師は患者の苦痛を長引かせないために迅速に手術を行う必要がありました。
5分ほどで済ませたそうです。